アパレル販売職の採用業務を通して見えるあれやこれやについて書いてます。

〜アパレル採用担当の窓口から〜

アパレル販売職の採用業務を通して見えるあれやこれや

『服を着るならこんなふうに』を読んで思い出した話~元販売職の思い出~

普段は片手の指の本数ほどあればよい拙ブログのアクセス数が、つい最近、1日だけいつもの10倍になっていて驚いた次第です。

最近のアパレル求人状況がヤバすぎて、しかしながら唯一の突破口的なものを見つけた(気がする)ものの、これもしばらくしたら使えない手になるのかな…とウダウダと考えてブログにしない日々が続いております。

正直、既存の求人媒体なんてよっぽど勝機がなければ使わない方がマシ、とすら考えているのですが、まあいろいろあってその理由とか考えるきっかけになった現状とかは、もう少し形になったら書きたいと思います。

近況終わり。

 

ところで、自分は入浴しながら小説なり評論なり漫画なりの本を読むのを習慣としているのですが、最近になってようやく読んだのがこちら↓

Webで無料で読めるところを、本で買ってしまうのは昭和生まれの読書者の性なのでしょうか…

web-ace.jp

主人公の男性が妹や友人のアドバイスを聞いておしゃれの楽しみに目覚めていく、ハウツー的な要素が強い作品です。

これは自分の周りにもいたのですが、「服はイトー〇ーカドーの紳士服売り場いいや」とか「〇ニクロ充分」という「〇〇いいや」って言う奴、そういう奴らはこれを読め、と思った次第。(イトー〇ーカドーも〇ニクロも良い商品を作る努力をしているのに失礼な奴らだ。)

だいたいそういうこと言う方々に限ってよそ様が恋愛に関するイベントで楽しそうにしているのを「ケッ」とか言うのが良し、みたいな風潮あるじゃないですか。必ずしも恋愛する必要はありませんが、自分がなにかしらでつまらなく感じていることを、別のルサンチマンの形で表現するの、カッコ悪いなあと思います。

せめてツンデレ気味に、「いっ、今よりちょっとくらいはカッコよくなってあげてもいいんだぜ!?///」くらい思ってくれると自分は嬉しいなあ。

 

まあ、それはさておき、『服を着るならこんなふうに』を読んでいて思い出したことがあります。それはファストファッションの会社にいた時の話です。

ある秋の始まりの日に、10代後半くらいの、ちょっとこの世の中においては不器用そうな、でも人の好さそうな小柄な男の子3人組から「(その中の一人の)服を見繕ってほしい」と依頼してきたんです。こっちは商売柄、その時着ている普段着のセンスをチェックしてしまうのですが(※そのタイミングでどこまで伸びしろを作れるか判断するためです。決して値踏みするためではありません。)まあ正直、色やアイテムの選び方が上手ではない子達。でもここでリーズナブルにオシャレにしてあげちゃうわ!とまるで母性のようなものが湧いてくるわけで、訊いてみたんですね、「どのようなイメージをお考えですか?」と。そしたら「玉〇宏みたいな感じで…///」とはにかみながらおっしゃるではないですか。んでもって、推しアイドル以外興味のないアタシ、(えっ、〇木宏ってどんなん…!?)ってなるじゃないですか…。

休憩室にスマホを取りに行って画像検索したい気持ちを抑えながら、なんとなーく「のだ〇カンタービレ」とか「クロレッ〇」のCMとかイメージするのですが、最終的に映画「ウォーターボーイズ」の時のアフロヘア―に黒子をつけた、海パン一丁の玉木〇しか出てこなくなってしまって(古い)、滅茶苦茶困りました。

まあなんだかんだ、ギリ馬面にならなくてドレッシーかつコンサヴァティヴな王子様っぽいイメージでコーディネートして差し上げました。その男の子、ちょっとシド・ヴィシャスを可愛くしたような感じなのですが、どうにも姿勢が反体制(猫背)で、服を着ただけではイマイチなご様子。ですので、鏡の前で猫背を正して「これだけでもっとかっこよくなるんですよ」とお伝えしたらお連れのお友達の皆さんも、ものすごく納得されました。だって本当に全然違うんだもの。お買い上げされて帰られる頃には、なんだか表情も少し自信がついたような感じになって、ちょっとだけかっこよくなってお店を出て行かれました。「ありがとうございました」なんて言われちゃって!いやー、ほんとに玉木宏さんありがとう。

ちなみに姿勢に関して、作品でも触れていましたね。ほんと、そうなんですよ。

 

お客様を素敵にする仕事に携わるのは本当に楽しかったなあ、という話でした。

アパレル販売職の皆さんも、ぜひ『服を着るならこんなふうに』を読んでみてください。お客様が感じる服を着る楽しみ、を再確認できる作品です。

 

 

 

 

 

 

 

~アパレル採用担当の窓口から~当ブログのアクセス傾向について

今年の1月に始めた当ブログはgoogle検索からの流入が多く、「アパレル 不採用」で検索されている方が多いのかな、という印象です。

アパレル販売職に応募して不採用になる人たち”、お読みになった方がブログの内容をヒントにして採用面接に挑んで良い結果に繋がったらいいなあと思います。第2弾も書こうと思っています。(書くとは言ってない。)

 

アクセス解析を通勤電車の中でたまに見るのですが、最近になって“『遊ぶ金欲しさ』というパンチライン”が上がって来てて驚いております。これが今回ブログを書こうと思ったきっかけでした。(そのことについて書くとは言ってない。)

このブログに関してはアパレル関係ないですし感想をいただくこともないので、さして注目されることはないと思っていたのですが…プレミアムプランだと検索ワードまで出してくれるのかな。

 

今現在は、会社のあり方、人事採用のあり方についていろいろと考えているところです。自分は経営者ではありませんが、何せ採用担当という人足集めの役割なものですから、会社という箱そのものについて考えざるを得ないのです。ましてや弊社のような吹けば飛ぶような会社なら。はたして働きやすい会社、働くに値する会社であるか?とてもとても大事。

 

っていうか欲しいのよ、求人を出すにあたっての会社の売りがさあ!業界もさあ!アパレル販売職のメリットをさあ!増やしなよね!!!

 

ファッションという文化を水際で支えるのがアパレル販売職。身だしなみを整える以上の文脈がそこにある以上、まだまだ我々にはできることがあると思っています。自分もやっぱり店頭で買い物するのが好きなので、その文化を守れるように頑張りたいです。

 

ちなみにアクセス順位はこんな感じです。

1位 アパレル販売職に応募して不採用になる人たち 

2位 『遊ぶ金欲しさ』というパンチライン 

    プレミアムフライデーとアパレル販売職の関係 

3位 "リクルートライフスタイルが“入社パスポート”を導入する理由"について 

    アパレル販売の実態①~「○○の実態」って書くとなんか怖いけどそんなことないよ~ 

 

個人的にはこっちを読んで欲しい… アパレル販売の実態②~ノルマ、ノルマってなんだ~ 

 

コミュニケーション能力とアパレル販売職③~最近の買い物やロープレで感じたこと~

特に前回の続きというわけではないのですが、最近の雑感として。

 

弊社で近頃研修を行いまして、その際に販売ロールプレイングでお客様側を演じたのですが、普段店頭でそれなりに個人売上を立てているような子たちが研修の場となるとあまりにも出来なさすぎてびっくりしましたね。全っ然お客様が言っていることや動きに気付いてないの。わかりやすく腕時計を見るしぐさをしてみたりするものの、スルーされていくのは、新人スタッフの動きを見ているようで、逆にこちらが勉強になったというか。緊張感は人を盲目にさせるのであった。

 

ところで、特に目的は無いけれど、なんとなく洋服が見たい(なんなら欲しいもの見つけたら買い物しよう)という気分でショップに入る時あるじゃないですか。そんで、何となく商品を手に取ったりしてみるとスタッフから声を掛けられるじゃないですか。「そちら可愛いですよね~」とか「入荷したばかりなんですよ~」とか。で、ちょっといいな、と思って鏡の前で合わせたりして。

そういう場面で何色にしようか、と悩む時、手持ちの洋服の種類や色をヒアリングされますよね?そのヒアリングの結果、すでに手持ちに多い色や、手持ちのものと合わせやすい色ばかりすすめてくるのが、最近とっても気になっております。例えばその日黒い服を着ているとしましょう。「黒がお好きなんですね!こちらの(商品の)黒もいかがですか?」と言われることがこのところ増えている気がします。なんなら弊社の研修でも聞いた。

「黒がお好きなんですね!」という肯定だけならまだ良いでしょう。しかしながら、今着ているものと同じ色を勧めるの、あれはどうしてなの?複数のカラーで展開している商品ならばお客様に似合う色を見つければいいのに、そうでなくても他のアイテムやカラーでお客様に似合うものをご案内したらよいのに、その色その商品だけで話が終わることが若い販売員に多すぎィ!君らは何のために売場にいるんだい?

 

その場その場の売り上げだけ求めるならそれでも良いのかもしれませんが、それだけなら売場に立つ意味は大してないです。もしそれに特化してやりたいならVMD戦略を練って売り場をしっかり作り込むほうが効率良いですよ。販売員なんて大していりません。

販売員を販売員たらしめるものは、お客様とのコミュニケーションです。それがなければ本当に意味がない。どんどん他の商品をレコメンドしてくれるネットショップに負けていくだけです。せっかくお客様と直接お話ができるのですから、もっとちゃんとお客様を見ましょうよ。素敵に変身させる提案をしましょうよ。

 

 

と、最近そんなことを考えています。売る側も買う側も、小売りの現場を楽しんでますか…?

コミュニケーション能力とアパレル販売職②

続きです。

接客に関するコミュニケーションについてですが、コミュニケーションを「さまざまな情報内容を、さまざまな手段で、伝え合うこと」と定義して話を進めますね。

 

接客の仕事でお客様へ伝えるべき情報って何でしょう。商品について?素材について?トレンドについて?

様々あると思いますが、それらは何が何でも伝えなきゃいけないものでしょうか?接客の際のセールストークとして、お客様がその商品を身につけるメリットをお伝えする際に添えるものであって最優先しなければいけないものではないと思います。それを言わなくても買ってくお客様いるでしょ?

本当にお客様に伝えるべき情報は「ご来店ありがとうございます」という歓迎と感謝の気持ちだと思うんです。

 

www.fashionsnap.com

 

声掛け不要バッグ、バズらせるための施策としか思えないんだけど。

お客様が声掛け不要かどうかなんて、お客様を見てたらわかるっしょ!あとお客様も最初声掛け不要と思ってても商品について聞きたいことがあったら声掛け不要と思わなくなるっしょ!お客様の気持ちなんてコロコロ変わるんだから店側がお客様のポジションを固定しちゃ駄目っしょ!

声掛け不要バッグがあるなら買い物行ってみようかな、って思って実際に行く人がどんだけいるのよ、って話です。

あとねー、販売員の声掛けがしつこいってアンケに書いてあるならスタッフへの教育を見直したらどうよ。それもせずにお客様の声を鵜呑みにしてるだけなら、ここの会社の販売員にはなりたかあねえなあ(暴言)。

UR広報の方がポジティブに受け止めているのって、この話題について取り上げられた回数だけなのでは…?

 

「さまざまな情報内容を、さまざまな手段で、伝え合うこと」

どんなに不器用でも、情報を伝えることが一方的にならないように工夫できることがコミュニケーション能力があるということだと思います。

弊社スタッフにも多いですが、店頭での動的待機の際に「ぃらっしゃいませー、どーぞーぉ、ごらんくださいませーぇ」と虚空に向かってしか言ってない奴、プライベートでどんなに沢山友達がいるとしてもお客様へのコミュニケーション能力が低いです。言い切ります、低いです。お客様を見て、ほどよいタイミングでちょうどいいことを伝えることが出来るのが、コミュニケーション能力が高い販売員です。

 

コミュ障を自覚している人って、周りのことを注意深く見ていますよね。会話するのに難儀するのも、どう言えば失礼にならないかどうか考えちゃって緊張するからです。でもその他者へのナイーブさ、販売職でとても活かせることがあります。

声掛けのパターンをいくつも作って、「こう言われたらこう答える」というフローチャートをいっぱい想定する。失敗したら失敗例としてデータを蓄積しておく。恋愛シミュレーションゲームで親密度を上げるようなものです。自分を失敗から守るために、ではなく、お客様にどう喜んでもらうか、と視座が異なりますが。

 

人が好き、とかあたかも自分がコミュニケーション能力が高い、みたいな志望動機をよく目にしますが、本当に人が好きならもっと慈悲深い人間であれ…!と思うケースが多いです。(だから気軽に書くのやめような。)

人付き合いはちょっと苦手です、というのも正直に履歴書に書くとびっくりしちゃうから書くのはよしといた方がいいと思いますが、そんな人でも接客販売の仕事はできますよ。

年々友人の数が減る自分が保証します。

コミュニケーション能力とアパレル販売職①

最近、弊社で現場のことを話す時に聞こえてくる「コミュニケーションを取っていない(から店がうまくまわってない)」という文言。ここでの「コミュニケーション」って一体どんなことなのかをコミュ障の自分が考えてみたいと思います。

そもそも「コミュニケーション」って何でしょ?今更ですが、外来語はニュアンス優先だったりするから、ふわっとしか説明出来ない人は多いのではないでしょうか。

 

「さまざまな情報内容を、さまざまな手段で、伝え合うこと」

[三省堂辞書サイト]10分でわかる「コミュニケーション」

 

なるほど、相互に情報を伝えるということをコミュニケーションと呼ぶのですね。となると「コミュニケーションを取っていない」ということは情報を伝えあっていないということになります。

ですが、売場で必要な最低限の情報は朝礼等で伝達事項として伝えられているのではないでしょうか。連絡ノート等のリマインダーも用意されているはずです。ということは仕事に関する情報の伝達だけでは不足していることになります。

仕事に関すること以外の情報とは、はたして。

 

店がうまくまわっていない状況は概ね人間関係のことが多いです。ささやかな人間らしい感情、例えば「なぜあの人は週末休みなのに私は出勤しなくてはいけないのか」とか「あいつより俺の方が仕事してるのに、なんであいつの方が評価が高いのか」とか、そういったものからスタッフ間にすれ違いが生まれ、ネガティブなモードになっていくのです。そして不思議なことに勝手にネガティブなモードになっているのにその理由をきちんと説明しないのです。なんならモチベダウンにともなって、業務上必要なことも伝えなくなったりします。ディスコミュニケーションです。

 

わたくし思うのですが、仕事さえちゃんとしてればいいじゃないですか、お給料をいただいてるのだから。スタッフ同士で仲良くする必要を感じませんし(最低限の礼儀とリスペクトは必要だと思います)、理不尽に感じることはその都度表明して、納得のいく説明をお願いしたらいい。でも世の中はどうやらそうではないらしい。仕事の成果を出すための意思より、その場その場の感情論が場を支配する時があるようなのです。

実際いましたよ、つかれたー、足いたい―、なんかイライラするー、と逐一お伝えくださる方。また、スクールカーストを作りたい方もいらっしゃいますし、そんなに業務内容的に接点のない人に披露宴用のVTR出演を依頼する方もいます。

どうにも、職場で発生する人間らしい感情や行為を伝え合うことがある程度必要みたいです。いわゆる「潤滑油」というものですね。

それが「取るべきコミュニケーション」と言われるもののようです。

 

 自分なんかは支払われる賃金に見合う仕事してればいいじゃん、と考える人間なので、この風潮がある限りコミュ障を自称し続けると思います。自分のこと別に職場で話したくないよ。人権意識とビジネスマインドさえあればいいよ…。「コミュニケーションを取っていない(から店がうまくまわってない)」と言われてもあたい困っちゃう><

 

本来、今回のブログはコミュ障でもアパレル販売のお仕事ができるよ!ということを書きたかったのですが、どうしてこうなった。

次回、接客に関するコミュニケーションについて書こうと思います。

 

 

人はアンセムだけでは生きてはいけない~アパレル販売職へのアンセムとは~

 www.fashionsnap.com

 

この記事を読んで、接客販売職になりたい、と思う人が増えるとは思えませんでした。

 

書いてある内容は自分にも身に覚えがあることが多いですし、うなずける内容も多いのですが、仕事の価値は仕事内容のみにあらず、と思うのです。

適正賃金を得て、きちんと休みを取る、プライベートの生活をきちんと維持できて初めて仕事をすることに価値が生まれるのではないでしょうか。そこを抜きに人間力的な話のみをするのであれば(もしくはマスコミの記事にするのであれば)、現場の人間はすり減る一方です。

真面目(で不器用)な人ほど、「<人を幸せにする>理想の販売員像」を内面化しすぎてしまい、しんどい思いをする可能性すらある。この仕事をしていて精神科や心療内科にかかるほど悩んでいる人を追い立てるようなことはしないでほしいのです。

 

多くの参加者にとって、自身の仕事との向き合い方を考える大きなきっかけとなるような、素晴らしいメッセージが詰まったセミナーでした。

 

本当にそうなのか?

まあ記事を書いた人は販売職の人ではないでしょうから仕方ないのかもしれませんが。個人的にはライフワークバランスとの向き合い方をもっと考えて欲しいと思います、それこそ販売職から出世した人が率先して。…いや、綺麗事ばかりの記事を疑ってしまう自分の悪い癖なんでしょう、こう思ってしまうのは。

 

そんな中良いニュースがありました。

 

ドコモショップの8割、2000店に「定休日」設定 (1/2) - ITmedia ビジネスオンライン

 

月1の定休日でも大きく前進したと思います。大変だもんね、携帯電話の販売店の仕事って。営業時間の短縮も素敵。曜日によって柔軟に変えればいいんだそんなもん、と思いません?ファッションビル等の商業施設も頑張ろうぜ!

 

ところで、自分が販売職で一番辛い時期のアンセムサンボマスターでした。ライブに行ってよくフロアの隅で泣いたものです…。そんなサンボマスター、本日アルバム「YES」の発売日なのでした。先月の野音ライブ、楽しかったな~

「学校の勉強なんて社会に出て何の役にも立たない」なんて悲しいこと言うなよ

アパレル販売職の皆さん、その他サービス業の皆さん、連勤お疲れ様です。自分は風邪を患ってしまい、皆さんのサービスを堪能するどころか自宅にこもる日々です…

 

なんか最近ツイッタランドの一部でまたぞろ話題になっていますね。
www.nikkei.com

 

以前のエントリーで労働観について書きました。

「ゆるふわ労働観」について①~「しょうらいのゆめ」とキャリア教育から~ - 〜アパレル採用担当の窓口から〜

アカデミズムを批判するつもりは全くなく、勤労は「自分の人生を主体的に生きる」手段の一つだよ、そこは教えていこうよ、ということを書いています。

そこでは労働市場において即戦力になる実学を教える必要は全くないでしょう。むしろ就職してその先何十年と続く勤労の場において大事なのは、学び続けること、自分をアップデートしていくことです。その能力をアカデミックな場で培えば良いのではないでしょうか。

学校での勉強なんて社会に出て何の役にも立たない、などと嘯いている学生を底上げすることに力を入れろ、と思います。目の前のことに対応できない奴が社会に出て役に立つと思うなよ?

 

とは言え人間向き不向きがあるので、そこは柔軟な環境を用意する必要があります。様々な学科があるのはその一つですし、脳のクセ(いわゆる「発達障害」)に応じた学習環境もこれからもっと整備されていくでしょう(と、思いたい)。

 

どの職業にも科学的、数学的な見地が必要です。例えその成績が芳しくなくても考え方をある程度構築できるのは、ものすごく役に立ちます。それはアパレル販売職でも同じです。考え方さえきちんと整理されていたら、むしろ仕事の場面での問題の方が学校のテストよりシンプルに感じるくらい。

実際に弊社のスタッフを見てみると、考え方が整理されてなくて、考えなくても良い余計なことに手を出して効率を悪化させているな、遠回りしているな、と感じることしばし。もったいない。

 

ところで服飾系専門学校ではアパレル販売職コースみたいなものがありますが、あれですか?入社してすぐに誰にも教わらずに接客8大用語言えちゃう感じっすか?洗濯表示とかすぐ説明できる感じっすか?ブランドイメージをすぐに体現できちゃう感じっすか?

まあそれはそれでアリっちゃアリでしょうけど、ガチガチに表層だけ固められると実際OJTの場面で双方しんどくなりそう。資格が必要ない仕事なので柔軟さの方がきっと大事。

あ、でも小売の仕組みを学べる販売士の試験は受けてもいいと思うよ。何ならテキストを読んで理解するだけでもいい。それだけで仕事の見え方がぐっと多角的になるよ。見え方が多角的になるということは選択肢が増えるってことだよ。

 

アカデミックな教育課程に偏りがちな大学を変革し、産業界が求める「即戦力」となる人材を育てるのが狙い。 

 

「学校の勉強なんて社会に出て何の役にも立たない」なんて、悲しいこと言うなよ産業界。