アパレル販売職の採用業務を通して見えるあれやこれやについて書いてます。

〜アパレル採用担当の窓口から〜

アパレル販売職の採用業務を通して見えるあれやこれや

「ゆるふわ労働観」について②~アパレル販売職の場合~

好きなことを仕事にすること、なりたい職業に就くことと、能力にあった仕事をすることは全く別の問題だと思っています。

 自分のアパレル販売職界隈では「ファッション(オシャレ)が好き」「人と接することが好き」という志望理由で入ってくる人間が多いのですが、離職率も高いので「好き」と「能力」の乖離を痛感しています。

よくある離職理由が「おもてたんとちゃう」。

アパレル販売職が一体どのような仕事か学ぼうとせず、一方的な想像や願望だけで「おようふくにかこまれてじぶんがキラキラかがやける」という『しょうらいのゆめ』レベルで来たら、実際は「商品(おようふく)を管理・準備するのは自分」「輝かせるのはお客様(じぶんではない)」ということに「おもてたんとちゃうわ!」と言って去る、ひどいときには「アパレルはブラック」とラベリングして出ていく羽目になるのです。

 

※もちろんサービス残業とかパワハラとか労働問題のある職場もあると思うよ!

  でも労働問題があるブラック企業は嫌いになっても、アパレルの仕事は嫌いにならないで!

 

これから仕事をしようとしている若い方たちの全てが自分の能力を把握してるわけではないですし、大人の自分ですら適職が何なのかなどわかっているわけではないでしょう。けど、志望する仕事を思い込み(やりたいという気持ち)だけで全うできるほど強い人もいないでしょう。

 

ビジネスは基本的に、ユーザーにお金を頂戴してはじめて成立します。その意識をないがしろにした「しょうらいのゆめ」への問いやキャリア教育で考え方が形成されることを自分は「ゆるふわ労働観」と勝手に命名しています。ゆるふわ!なんかかわいいね!

 

自分の能力や資質でそういう業務だったらお金が貰えるか、もうちょっと考えてもいいと思うぞ。ちなみにアパレル販売職の場合、最低でもマルチタスク向きかそうでないかは把握しておいた方がいい。ファッションセンスは仕事してたら勝手についてくるから気にすんな。

「ゆるふわ労働観」について①~「しょうらいのゆめ」とキャリア教育から~

大人になったら何になりたい?とたいていの人は幼少期に「しょうらいのゆめ」を訊かれていると思います。そしてたいていの人はその時その時に許される想像力をフルに使って憧れる大人の職業を回答していると思います。(もちろんサッカー選手とかユーチューバ―とかパパのお嫁さんとか、本気で思っている子供もいるでしょう)自分はたしか幼稚園の時は先生と答えた気がする。

大人が何らかの意図をもってアンケートを回収しているのは理解しているのだが、一体どんな意図なのかさっぱりわからない。意識調査とは言えそれが何かに反映されたことはあるのか?キッズ向けビジネスとか?

 ところで文科省からキャリア教育が必要とのお達しがあって実際に行われているようなのですが、平成23年中央教育審議会によって「一人一人の社会的・職業的 自立に向け,必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して,キャリア発達を促す教育」と定義されています。職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)を見てみると、小学校中学校は集団生活を基に社会性を育み、高校では社会においてどう動くかを学ぶようです。中学高校でも職業体験をするところもありますね。

しかしながら、「職業の世界の実際を把握する機会を与えられず,自己の在り方を職業生活や社会生活とのトータルな関係で考えることができないままに,将来への希望や自信,働くことへの意欲が持てないでいる若者の姿が見られる。」ということも把握しているようです。(キャリア教育とは何か - 文部科学省PDFより)

 

…なんか、なんかなー…(朝ドラ「べっぴんさん」でバズらなかった主人公のことあるごとに発せられるセリフ)

 

仕事をするということはお金を稼ぐこと、この視点抜けてません?と思うのです。

働くというのはあくまでもお金を稼ぐ手段のひとつで、ほとんどの人間はその手段としての労働に従事する。その点では正しいのだけど、あたかも受験のように、働ける場所に辿りつくことが目的になっているようになっていませんか。「しょうらいのゆめ」を問われるように。

「働くことへの意欲が持てないでいる若者」も、お金は欲しいと思うんだよね。その層にアプローチするためにも、お金を稼ぐことの大切さをしっかり伝えることが大事なんじゃないかなあ。

 

※基礎研究とかすぐに金銭的価値が与えられないことに従事することは当然ある。それはまた別として。

※働く場所を見つけることが困難な人がいるのも知っている。それもまた別として。

 

お金を手にして自分の人生を主体的に生きられるようにする、ことが大事だと自分は思います。

 

障がい者等の就業しない(できない)人については

 自分の人生を主体的に生きることには社会保障制度に参加することも含まれると考えるので

 彼らがお金を稼がないことにはこの視点からは問題はないかと。

 我々労働者は社会保障制度の公的扶助を受ける立場にいつでもなり得る存在でしょ?

※もちろん詐取や簒奪などイリーガルな手段でお金を稼ぐことはダメ、絶対。

 

<続く>

"リクルートライフスタイルが“入社パスポート”を導入する理由"について

自分は大学新卒採用なんて恐れ多い、若年層アルバイト採用に従事しているわけですが、それなりに就労人口の減少とか考える日々です。そんな中、こちらの記事には羨望と絶望がないまぜになった感情を抱いた次第です。

 

logmi.jp

 

求職者に聞こえの良い言葉が並んでますが、採用担当者は胃がキリキリします。

要は志望者数を担保する仕組みです。

 昨今の大学新卒者の採用に関して難易度が上がっているのは末端の自分でもよく耳にします。「説明会→応募→内定までのそれぞれのポイントでの離脱者の数が増え、目標採用数を確保できない…」とのこと。(業界や職種や企業にもよりますが)

歩留まりごと母数をごっそり持ってくリクルートライフスタイルさんのやり方に水産資源を乱獲する漁船の一団を思い浮かべたよね!パスポートを発行することで今までより二次面接通過者や内々定者を増やすのだろうから、乱獲はあながち間違ってはいないだろう。

 

…いいなあ~(本音)

 

唯一、僭越ながら共感できたのは『「働くことをいろんな人たちに考えてもらう」としたいんです。』という部分。

 「働く」「仕事をする」ことの根本に対して、我々はいささか無頓着だったのではないか、と採用を通じて感じることが多いです。一言でいえば「ゆるふわ労働観」、子供のころから「しょうらいのゆめ」を求められすぎて、労働の本質に触れていなさすぎじゃね?と。自分の願望ありきで仕事を選ばされるようになってる。ところがどっこい、いざ就職活動期を迎えるとギャップや自己像との齟齬が生じてしまい、そこでの調整がうまくいかない人が出てくる。また、念願の会社に入ることがゴールで、そうすれば願望が叶えられると思う人が実務面のレベルの高さに絶望して早期離職が発生する。

 そこについて「考える時間を与える」のを企業がやるべきかどうかは別として、自分も必要だと思うのです。

 

中卒高卒大学中退のフリーター層を日々見ている自分の危機感は伝わらんかもですが、本当にヤバいよ。こちらの例で言うと、「ファッションが好き」ってだけで仕事できるとゆるく考えてるやつ多すぎだから。『好きを仕事にする』という言葉よ滅べ!とすら思う。

 …なんか愚痴交じりになってしまった。

採用コストは必要経費だが

採用コスト(タウンワークバイトルマイナビ等の求人広告費)を下げるために自分が何をしているかについてです。

 これは単純に、求人広告を出さなければよい、で終わる。しかしそういう訳にはいかない。なぜならアパレル販売職の離職率はとても高いからです。

 

となると、いかに効率よく予算を分配するかの指針を作るために求人費データを取って分析するところからスタートすることに。

前任者が数値データを取っていなかったために数年分つくりました。規模が小さい会社とは言え、2日に1人の入退社ペースだと結構な量です。どの媒体を見て応募してきたとか、アルバイトなのかパートなのかとか色々。そしてそのデータを基に欠員が発生した店舗の求人媒体を選定するわけです。

また、離職率を下げるために様々な取り組みを行います。ES面の工夫、評価基準の見直し、高校新卒採用の取り組み、等々。 

これまでに会社がしてこなかったことにトライしています。ただお金を右から左に動かしても、求職者は動かんのだ。尚、コスト減に限界が見えてきた模様…

 

ちなみに、自分がバイト探してる時とか転職活動してる時とかそれにお金かかってるなんて全然考えもしなかったです。当然っちゃあ当然か。テレビのCMとかキャンペーンとか見ても「金かけてるな~」くらいにしか考えないし実際にどれくらいの予算がかかってるなんて推測する必要なんてないしな。

 

採用コスト下げたらその分サービス向上にリソースまわせるんだ!だからみんな、面接のドタキャンやめような!

 

 

~アパレル採用担当の窓口から~

自分の仕事はアパレル業界の末端での採用業務です。この仕事に就いてからまだ2年弱、能力的には素人レベル。でもそれまでの販売職経験が長いため、そこそこ歳は取ってます。

 日々の仕事を通じて感じたこと考えたことをアウトプットしてみたく、つらつらと書いてみようと思います。

 

自分の仕事の内容は、ざっくり言うとアパレル販売職のアルバイトスタッフの採用です。会社の規模は小さく店舗数はアベレージでひと月の日数くらいしかないのに、(新店オープンや閉店があるからね)それを専任でやっています。

その規模でアルバイト採用だけしているなんて、それで給料貰えるなんて楽なんじゃねーの?と自分を鳥瞰すると思うわけですが…。(他社さんは人事採用総務兼任だったりするじゃないですか。)採用業務のクオリティを上げようと思ったらなかなか大変だったりするもんです。

 

では何が大変か。

 自分の最大のミッションは採用コストを下げること。

採用コストとは主にタウンワークバイトルマイナビ等の媒体の求人広告費のことを指します。(もちろん、面接や採用にかける人的コストも採用コストではありますが)このコスト、自分の入社前は平気で4桁万円かけてましたからね、アパレル不況の時代にそんなんだったら早晩会社が立ち行かなくなります。採用コストを下げるためにはどうしたらよいか、知恵を絞るわけです。

 

次回は採用コストを下げるために自分がしていることを書いてみようと思います。

 

あ、ちなみにこのブログはよく求人広告代理店のサイトにあるような「さいようかつどうのあどばいす」的なブログではないです。でも誰かに読んでいただけたら嬉しいな、ご意見いただけたら嬉しいなと思って書いてます。

いずれ労働観についてアウトプットしたいなあと考えているのでそのために。

 

よろしくお願いします。